【7】ディスプレイ広告で試すべきこと

更新日:2020/10/07(一部古い情報があります)

□まずはターゲットが反応する広告を作るところから

【3】作るべき広告 で述べましたとおり、広告の内容が、誰に配信されるかということに大きく影響します。検索広告は検索語句があるので広告ごとに表示された条件が違うのがわかりやすいですが、ディスプレイ広告も同様です。
ターゲティングだけを工夫したところで、狙ったターゲットへのアプローチも十分にはできません。
広告の重要度は検索広告以上であり、ディスプレイ広告こそ、広告だけで勝負は決まると言っても過言ではありません。
まずは広告を作ることに最大限注力しましょう。

□配信面と表示されるタイミングを意識して広告を作る

ディスプレイ広告がよく表示される場所を意識してみてみましょう。
  • ブログやニュース記事などの本文の途中
  • ブログやニュースの右枠
  • 記事一覧の中に配置される枠
  • 何かのアプリのダウンロードページ
  • YouTube
  • モバイルアプリ(ゲーム、天気、何かしらのツール系など)
また、これらを閲覧する人が、どういう気持ちで、どういうときに目にするかを意識してみましょう。
  • 観たいコンテンツがある
  • 何か面白いコンテンツを探している
  • やりたいことがある
  • 特に何も考えずになんとなく
  • 家でゴロゴロしているときに
  • 電車の中でスマホで
  • 会社の昼休みに
  • 何かの待ち時間にスマホで
つまりほとんどの場合において、広告で提供されるような情報を求めているわけではないときに、広告を目にすることになります。
例えば家具のECサイトの広告であれば、
家具が全品20%OFF
という、今それを求めていたであろう人が少ないような訴求ではなく、
おしゃれなインテリアのコツ
という、見ておいて損はない、読み物としてもちょっと楽しそうと思える訴求のほうが多く人がクリックするであろう、ということが言えます。
ただ、クリックが取れるからといってコンバージョン率が高いかどうかはまた別ですし、買うという行動を意識してクリックしそうな前者の広告のほうがコンバージョン率は高いかも知れません。
ですのでその中間、
これを買えば部屋がおしゃれに
というような広告も作ってみるべきです。
以上の3例はこのようなパターンであるということが言えます。
  • ほんとに興味がある人しかクリックしなさそう
  • 他の何かを見ていたい人でもクリックしそう
  • 他の何かを見ている中で、少しだけこの商品に興味がある人ならクリックしそう
どれが一番成果が良いかどうか、実際のところ絶対的な正解はありません。
基本的にはクリックされる広告でないと広告表示回数自体が稼げずクリック単価も高くなりがちなので、クリックされやすいことは重要ですが、(コーンバージョン以外が目的でない限りは)コンバージョンしなければ意味がないのでクリックの観点もコンバージョンの観点もどちらも重要です。
クリックされつつコンバージョンにも至りやすい広告を作るためにも、配信面がどういうところか、見る人はどういうタイミングで見るか、意識して考えましょう。

□普段からネットサーフィンをしておく

普段からよくインターネットを閲覧していなければ、ディスプレイ広告を作るための感覚を養いにくいです。
ネット上でよく見られるコンテンツは何なのか、クリックされる記事タイトルは何なのか、この感覚がわからないと、良いディスプレイ広告のコピーを作りづらいです。
少なくとも下記はブックマークするなりスマホにアプリをインストールするなどして、できるだけ毎日、少しでもいいから目を通すことをおすすめします。
  • Twitter(フォローする相手がいないなら、トレンド、ニュースを見るだけでも)
  • はてなブックマーク
  • YouTube
  • Yahoo!ニュース
  • LINE(タイムラインとニュースを閲覧)
  • GoogleのDiscover
  • 自社商品を指す一般名詞キーワードで検索して見つかる情報サイト
その他にも利用者の多いニュースアプリも多くありますが、中には法的に怪しい見出しとコンテンツが多いものがあるので、参考にして良い訴求と表現については注意しながら閲覧しましょう。

□まずレスポンシブディスプレイ広告をたくさん作る

イメージ広告(画像のみの広告、いわゆるバナー広告)ももちろん効果的ですが、一般的に、表示回数とクリック数を稼ぎやすいのはレスポンシブディスプレイ広告です。また、広告画像の制作の手間を考えると、レスポンシブディスプレイ広告のテキストをとにかくたくさん試すほうが、少ない工数で大きな成果への影響があります。もちろん、アイディアを出す工数は省けませんが。
まずは、画像は汎用的なものでいいのでレスポンシブディスプレイ広告のテキストをたくさん作って試しましょう。
もちろん画像を制作するのが負担ではない方は別です。

□ターゲティングの設定に大正解はないと意識しながら試す

配信された広告がそれぞれ実際にどのような条件でクリックされたか確認すると、広告自体がかなりターゲティングをしている、もしくは結果的にしているということがわかります。
もちろんターゲティング設定は実際の広告配信状況に影響するので設定内容は重要ではありますが、もし、ある程度適当と思われるターゲティング設定をしているのにほとんど成果が出ていない場合、それはターゲティング設定次第でどうこうできるものではありません。
究極的にはターゲティングの設定はさておき広告とリンク先の内容が結果を決めるとも言えます。
ターゲティングの内容はある程度試したら次はやはり広告とリンク先ページの内容を見直すべきという前提で、突き詰めすぎずに試すのがちょうどいいです。

□リマーケティングを試す

一般的に成果を得やすいのがリマーケティングです。もしもディスプレイ広告を実施したことがない方はまずリマーケティングからはじめてみて感覚を掴んでから他も試すのもおすすめです。
作るべきリマーケティングリストの例は、【2】基本的に設定しておくべきこと のページで説明した内容 に記しています。
また、もし顧客の純増を最優先に考える場合、例えば下記のような設定も合わせて検討しましょう。
  • 購入したことのあるユーザーを除外
  • 資料請求、お問い合わせに至ったユーザーを除外
  • 既存顧客、既存会員でないと閲覧できないページを閲覧したユーザーを除外
  • メルマガ、LINEなどでアプローチ可能なユーザーを除外
もちろん、既存顧客や、広告以外でアプローチ可能なユーザーなどにもあえて広告費をかけてでもリマーケティング広告でアプローチしたほうが有効だと考えられる場合はこの限りではありません。

□(リマケ以外の)オーディエンスターゲティングを試す

□ターゲットに近い → 遠い の順に試す

例えば家具のECサイトの場合、例えばこのようにターゲットを考えられます。
ソファに関心がある人
家具に関心がある人
引っ越しに関心がある人
上から順に、家具の購入という行動に近いと言えますし、コンバージョン率は上から順に高いと想定できます。しかし実際に広告配信をしてみると反対の結果が出ることがあります。特にディスプレイ広告ではよくあることです。ですので、一番コンバージョン率が高いと思われるターゲットで良い成果が得られなかったからといって、そこからさらに遠いターゲットに広げる試みを諦めるべきではありません。
ただしはじめから広げ過ぎたり、一度にたくさん試したりするよりは、コンバージョンに一番近いところから試すのが無難です。

□選択できるオーディエンスターゲティングを活用する

  • ノンターゲティング(ターゲットを何も設定しない広告グループ)
  • ユーザーの属性
  • アフィニティ
  • インテント

□カスタム設定できるオーディエンスターゲティングを活用する

  • カスタムオーディエンスの例
    • 自社名
    • 自社商品名
    • 自社サイトURL
    • 自社のアプリ
    • 競合他社名
    • 競合他社サイトURL
    • 競合他社のアプリ
    • 類似商品、ブランド名
    • 類似商品、ブランドサイトURL
    • 自社商品と同じジャンルのアプリ
    • 自社商品を指し示す一般名詞キーワード
    • 自動作成されたカスタムオーディエンス
  • 類似ユーザーの例
    • AdWords optimized listの類似ユーザー
    • コンバージョンに至ったユーザーの類似ユーザー
    • 特定のキーワードで訪問したユーザーの類似ユーザー
    • 特定の商品を購入したユーザーの類似ユーザー
    • 特定のページを閲覧したユーザーの類似ユーザー
 

□コンテンツターゲットを試す

おおよそ下記のような行動をすれば、登録するべきキーワードが見えてきます。
  • 検索広告のために思い当たるキーワードでGoogle検索をする
  • 自然検索の検索結果50位くらいまでは全部別タブで開く
  • 開いたタブに全部目を通す
  • AdSense枠があるサイトはどんなものがあるかざっと把握する
  • 広告配信されたら適切と思えるページはどんな内容かざっと把握する
  • そこからさらに思い当たるキーワードを拾い上げる
  • どんな広告が合うかイメージする
  • 他のキーワードで繰り返す
大変かも知れませんが感覚をつかめばどんどん進められます。だいたい見渡せたと思えるまでこなしましょう。
大事なことは、インターネット上にはどんなコンテンツがあり、どこに広告が出せてそこにはどんなコンテンツがあるのか、感覚的なレベルでも掴むことです。
便利なツールも手法もありませんし、近道もありません。

□プレースメントターゲティングを試す

コンテンツターゲットのために進める調査の段階で、特にピンポイントで狙うべきといえるサイトがあればピックアップしましょう。
ただしプレースメントターゲティングは、入札単価を大幅に引き上げたり、そのサイトに合わせてクリック率が高まるであろう広告をがんばって作成したところで、どうやっても表示回数もクリック数も稼げないことがよくあります。
すべての広告主がプレースメントターゲティングで配信される広告だけを入稿していて、単に金額だけでオークションの勝敗が決まる、というわけではないので当然です。
狙いたいサイトに、結果的にオーディエンスターゲティングかコンテンツターゲットで配信されることもよくありますし、それでクリック数が得られているならそれで十分とも考えられます。その配信先をあえてプレースメントターゲティングで指定したところで、クリック数が必ずしも純増するわけでもなく、管理が煩雑になるだけでもあります。
配信結果がどうなっているかにはこだわるべきですが、手法にはこだわるべきではありません。
プレースメントターゲティングは、これで狙ったサイトでのクリック数が増えたらラッキーくらいに考えておくのが無難です。

□ファインドキャンペーンを試す

詳細は省きますが通常のディスプレイ広告とは異なるターゲティングの方式も用いているため、結果も異なることがありますので、試してみるべきです。
Discoverに表示されることで話題になりましたが、実際にはほとんどYouTubeにばかり表示されるということも多いです。

□オーディエンスの拡張を試す

良い場合も悪い場合もあります、少しだけでも試してみるべきです。

□入札方法を意識してキャンペーンを組む

ターゲティングの種類によって、配信のされやすさが大きく異なります。
  • オーディエンスターゲティング
  • コンテンツターゲット
  • プレースメントターゲティング
例えば上記3つのターゲティングごとに3つの広告グループを作成するとして、3つすべてを1つの同じキャンペーンに作成して自動入札にした場合、オーディエンスターゲティングだけでほとんどすべての費用を使ってコンテンツターゲットとプレースメントターゲティングにほとんど費用が使われなかった、ということがあり得ます。
しかしあえてコンテンツターゲットに費用を意図的に割いてクリック数を稼いでみると、コンバージョン数は増えるということが実際にあります。
1つのキャンペーンにすべてのターゲティングと広告をまとめて、自動入札を使うことで良い結果になるのであればそれでいいのですが、そうはいかないことはよくありますので、ある程度はコントロールできる余地を作れるように、キャンペーンを組むのが得策です。
例えば下記のようなパターンのいずれかを想定しておくとよいでしょう。
おすすめは3つ目です。

□キャンペーンは同じ。個別クリック単価制で、入札単価を変える

オーディエンスの広告グループのみ入札単価を低めにして、他の広告グループの入札単価を高めることで、オーディエンス以外もクリックを稼ぐことができます。
ただし入札戦略の選択はキャンペーン単位なので、特定のターゲティングのみ自動入札にするということができなくなります。

□キャンペーンは同じ。目標コンバージョン単価制で、目標CPAを変える

オーディエンスの広告グループのみ目標CPAを低めにして、他の広告グループの目標CPAを高める、とします。
ただし、クリック単価で差をつけることに比べると、表示回数とクリックを強制的に稼ぐような調整はしづらいです。
またこの場合も、特定の広告グループのみ別の入札戦略にするということはできません。

□ターゲティングごとにキャンペーンを作成し、コンバージョン数の最大化を使う

個別クリック単価制の他には、コンバージョン数の最大化、もしくはクリック数の最大化が、強制的に表示回数とクリック数を稼ぎやすい入札戦略です。
キャンペーンがわかれていればこの2つの入札戦略も他のすべての入札戦略も、ターゲティングごとに選択できますので、一番汎用的なのはこのパターンです。

□表示回数が激減したらショックを与えてみる

十分にコンバージョンが得られていてCPAも良く、入札単価もターゲティング設定もまったく変えていないのにあるときから表示回数が、ゼロではないけれどもほとんど出なくなるということがあります。
まずは原因を探りましょう。
  • キャンペーン、広告グループ、広告のステータスを確認する
  • 広告のポリシーの詳細を確認する
  • タグに問題がないか確認する
  • 入札設定、ターゲティングに本当に変更がないか確認する
まず上記のような基本的なことを確認するべきですが、そういったこととはまったく関係なしに、ほとんど原因不明といっていいようなときもあります。
ディスプレイ広告は特に、広告主が把握不可能なレベルでの変数があまりにも多いので、そのようなことがあることは不思議ではありませんし実際よくあります。
こういったときは考えられる基本的な設定を変更してもあまり変化がありません。
理屈抜きに、ショックを与えるような何かをしてみるしかありません。
  • 入札単価を大幅に引き上げる
  • コンバージョン数の最大化にして予算をちょっと高めにしてみる
  • 広告を大幅に入れ替える
もちろん費用に影響がありますのでご注意ください。
ちなみにこの手の現象は年々発生しづらくはなっていますが、今でも、個別クリック単価制か目標コンバージョン単価制のときには発生しやすいです。
コンバージョン数の最大化では発生しづらく、強制的に表示回数を復活させやすくもあります。
コンバージョン数の最大化は入札管理が楽でもありつつ、結果をコントロールもしやすく便利です。

□広告の配信結果の分析もきちんとして、次の広告を考える

いつ、どこで、どんな人がクリックしているか、想像と現実は乖離するものですがディスプレイ広告はその傾向が顕著です。
実際の配信結果をきちんと分析して、次の広告を考えて作っていきましょう。

□ターゲティングのタイプにより配信の傾向が変わることも知っておく

本来、コンバージョンに至る見込みが高い条件での広告配信比率が高まるよう最適化されるはずですが、それとは関係なしに技術的な背景が影響して配信の傾向が偏ることがあります。
主にはOSの違い、特にAndroidとiOSの違いが、大きく影響することが多いです。
例えばAndroidに多く配信されてコンバージョンが得られた場合、それはただ単に技術的な理由でAndroidに多く配信されただけであって、Androidユーザーに求められる広告だったのかどうかは別かもわかりません、が、これを察知するにはあらゆるデータを多方面から確認しないと難しいので、恐らくそういうこともあるくらいに意識しながらデータを確認するくらいがちょうどいいです。
近年進んでいるプライバシー関係の技術要件の変更により、特定のターゲティング手法が特定の環境下で通用しなくなっていくと言われています。
ですが、普段からきちんと確認していれば、世間で言われているようなこととは違うことが多いのはもちろん、むしろ真逆のような現象を確認できるようなことすらあります。
世間で言われていることや先入観だけで判断すると打ち手を見誤ります、普段からきちんと自分で実際のデータを確認していくようにしましょう。
広告ごとにどんな条件で配信されたか確認して分析する に記した方法では、広告以外の単位での分析も可能です。