2025年3月 Google コア アップデートについて

2025年3月 Google コア アップデートについて

Google は、2025年3月14日、コアアップデートをリリースしました。ロールアウトは3月27日まで続き、その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなジャンルで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。 定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2024年12月のものでした。それに関する情報は「2024年11〜12月Google コア アップデートについて」にまとめてあります。
 
※今回のレポートデータは DemandSphere 社のデータを使用しております。

今回のアップデート動向まとめ

  • 2025年 1回目のコアアップデート、2024年のコアアップデートと比較すると変動は小さい
  • ドメインの強いサイトが上昇傾向、小規模と思われるサイトでは下落傾向が確認できる
  • 小規模サイト群の下落例として、辞書、wiki、用語集などの下落が多く確認できた
  • go.jp など公共機関系ドメインが下落傾向、一般大手サイトが上昇傾向となっている
  • コアアップデートとは直接的な関係はないが、AI Overview の表示が同タイミングで大きく増加、強調スニペットが下落した

全体の変動率

過去 1年のコアアップデートと比べて変動が小さいことが確認できる。
コアアップデート期間中 Health カテゴリが最も変動している、そのほか Adult , Home and Garden などのカテゴリが比較的伸長している。
 

今回のアップデートで変動したジャンル

特に大きく動いたカテゴリ(3月12日と4月9日比較)は以下の通りとなった。カテゴリ別の動向は後述する。
  1. Weather
  1. Adult
  1. Manga and Anime
  1. Health
  1. Vehicles

大きく変動したサイト例や傾向

 
今回のアップデートで特徴的だった事例や動向などを紹介する。

特徴1:ドメインの強いサイトが上昇傾向、小規模と思われるサイトでは下落傾向が確認できる

前回「12月Google コア アップデート」とは逆の傾向となった。とくにデスクトップの検索結果において上昇傾向が顕著となっている。
※サードパーティーツール Ahrefsのデータ(必ずしもGoogleの評価とは一致しない)であることには注意が必要
 
ランキング帯上位ほど Host Rating の高いグループで上昇傾向が確認できる。
 
対して Host Rating の低いグループで下落傾向が確認できる。とくにランキング帯下位でその傾向が顕著となっている。
全体感として小規模サイトは下落傾向だが、個別で確認すると上昇したサイトも存在する。
 

特徴2:Wikipedia の伸長が続くが、小規模の wiki・辞書サイトにて下落傾向のサイトが散見される

昨年 12月頃より Wikipedia(最上位)の伸長が続いている。
一方で小規模の wiki・辞書サイトには下落傾向のサイトが散見された。
 
また、サブディレクトリに設けている用語集のページでも下落傾向が確認できる。 用語を説明するコンテンツのみとなっているのでページ内の情報量は多くなく、強調スニペットなどで代替が可能なこともネガティブな要因として推察できる。
 

特徴3:go.jp など公共機関系ドメインが下落傾向、一般大手サイトが上昇傾向

公共機関系ドメインの中で特に go.jp の下落幅が大きいことがわかる。
 
カテゴリ別に確認するとHealthの動向が大きい。
 

厚労省・J-STAGE・国立がんセンターがダウントレンド

Healthとgo.jpのhostに絞り込んだものが以下となる。
厚生労働省(www.mhlw.go.jp)やJ-STAGE(www.jstage.jst.go.jp)、国立がんセンター(www.ncc.go.jp)などのVisibilityScoreの減少が目立つ。
 
上位3サイトを除外したものとなる。やや下落しているサイトが目立っている。
 
最上位と最上位以外を比較するといずれも減少傾向にあることがわかる。
 
厚生労働省(www.mhlw.go.jp):コロナ関連クエリが目立つ。
コロナ関連クエリにて go.jp 以外のhostでは大手メディアや YouTube の上昇などが確認できる。
 
J-STAGE(www.jstage.jst.go.jp)論文のオンラインプラットフォームのため専門性の高いクエリが多い。
下落したクエリに絞り込むとgo.jp以外のhostでは Wikipedia 等のサイトが上昇していた。
 
 
国立がんセンター(www.ncc.go.jp):がん系クエリが多い。
コロナ関連クエリの go.jp 以外のhostでは 信頼性が高いと思われるメディアや病院、研究所のサイトで上昇が確認できる。URL数の表出では YouTube が増加傾向。
 

医療情報ネット・ナビイの上昇

また上昇しているのは医療情報ネット・ナビイ(www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp)で、これは2024年4月にリニューアルで停滞していたサイトだが、3月コアアップデートのタイミングでも上昇できている。
 
医療情報ネット・ナビイ(www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp)のみに絞り込んだもの。
 

特徴4:増加する AI Overview 減少する強調スニペット

コアアップデートと直接の関係はないが、直近タイミングで強調スニペットと AI Overview の動向に変化を確認できた。 3月初旬頃から非ログイン環境でも AI Overview が表示されるようになり大きく伸長しており、強調スニペットとのトレードオフのような関係性がうかがえる。
 
カテゴリ別の表示状況では、Health が表示件数・表示率においても最も多い結果となっている。表示率においては、Health が30-40 %のあたりを推移している。一方で Adult や Gambling の表示率が低いことから倫理的、法的な問題に関わる情報を避ける傾向がうかがえる。
 

番外:Google とは異なる Bing のランキング動向

3月のコアアップデート期間の Google で確認できた変動とは異なる動きが Bing では確認できた。意図した調整なのかは不明だが Google とは異なる検索結果になっていると思われる。
 
Google ではドメイン評価の高いサイトが上昇傾向となっていたが、Bing では下落傾向となっており小規模サイトが上昇していることがうかがえる。
 
ブログサービスやFAQサイトにおいても Google では上昇が続くサービスが Bing では下落傾向となっている。
 
3月のコアアップデートで公共機関サイトは下落傾向となっていたが、Bing では上昇傾向となっている。
 
Google では減少傾向となっている ハッキングスパムのサイトだが、Bing では上昇傾向となっている。小規模サイトが上昇している一方で、スパムサイトの排除は追いついていないようにうかがえる。
 
 

カテゴリ別動向

1. Weather

日常の天気について十分な情報量を保有するサイトが上昇傾向、公共機関や専門的な天気情報のサイトが下落の傾向。
Win / LoseサイトCU前後の変化率
Win学習塾28.2%
Win動画配信11.9%
Win天気情報24.6%
Win天気情報213.3%
Win旅行メディア18.5%
Win天気情報34.0%
Win天気情報4992.0%
Win新聞社11.7%
Win天気情報146.2%
Win教育メディア13.0%
Lose気象協会-38.0%
LoseECサイト-100.0%
Lose経済産業省-47.2%
Lose辞典-26.3%
Lose辞典-11.8%
Loseニュースメディア-26.4%
Loseニュースメディア-33.8%
Lose大学研究室-10.5%
Lose特化天気情報-30.7%
Lose天気情報-32.0%

2. Adult

上昇群、下落群ともに求人検索のサイトが確認できたが、情報の質と量で差があるようにうかがえた。
Win / LoseサイトCU前後の変化率
Win情報メディア17.8%
Win求人検索12.5%
Win動画配信72.5%
Win動画配信10.2%
Win求人検索55.6%
Win求人検索16.0%
Win動画配信12.3%
WinECサイト26.7%
Win求人検索28.0%
Win情報メディア18.4%
Lose求人検索-10.6%
Lose店舗検索-11.7%
Lose情報メディア-95.8%
Lose求人検索-16.5%
LoseSNS-19.4%
Lose求人検索-26.9%
Lose動画配信-24.1%
Lose求人検索-27.1%
Lose求人検索-19.4%
Lose求人検索-10.8%
 

3. Manga and Anime

コンテンツを配信しているサイトが上昇傾向、情報メディアなで2次サイトなどが下落傾向とうかがえた。
Win / LoseサイトCU前後の変化率
Winマンガ配信15.8%
Win動画配信14.6%
Winマンガ配信10.2%
Winアニメ配信16.2%
WinQAサービス12.6%
Winマンガ配信19.9%
WinSNS26.6%
Win映画レビュー11.6%
Winマンガ配信14.1%
WinECサイト59.0%
Lose出版社-87.2%
Lose情報メディア-30.6%
Lose情報メディア-13.0%
Lose出版社-35.1%
Lose動画配信-11.5%
Loseニュースメディア-27.8%
LoseSNS-21.8%
Lose情報メディア-36.2%
Lose辞書-22.2%
Lose情報メディア-25.8%

4. Health

患者など一般利用されるサイトが上昇傾向、専門家向けや公共機関のサイトなど日常使いから距離があるサイトが下落傾向とうかがえた。
Win / LoseサイトCU前後の変化率
Win動画配信38.8%
WinWikipedia62.3%
Winオンラインクリニック52.1%
Win店舗検索52.1%
Winオンラインクリニック34.3%
WinQAサービス51.5%
Winブログサービス49.3%
Win病院公式48.7%
Winオンラインクリニック59.6%
Win情報メディア106.9%
Lose製薬会社-24.5%
Lose情報メディア-57.7%
Lose公益財団法人-16.1%
Lose医療関連企業-22.9%
Lose一般財団法人-37.2%
Lose病院公式-99.4%
LoseECサイト-31.5%
Lose病院公式-10.3%
Lose大学公式-62.1%
Lose病院公式-11.2%

5. Vehicles

上昇群、下落群ともに中古車買取サイトが確認できるが情報の質と量で差があるようにうかがえた。また下落群ではアフィリエイトメディアなどコンテンツの検索行動の完結が難しいと思われるメディアも散見された。
Win / LoseサイトCU前後の変化率
Win中古車買取18.1%
Win動画配信10.2%
Winレンタルバイク1301.0%
WinQAサービス27.5%
Win企業公式66.6%
Win中古車検索24.9%
Win動画配信71.1%
Win車メーカー16.0%
Win中古車買取21.7%
Win中古車買取14.7%
Lose車情報メディア-19.0%
Loseアフィリエイトメディア-10.7%
Lose価格比較メディア-28.3%
Lose中古車買取-12.0%
Lose車情報メディア-18.4%
Loseアフィリエイトメディア-25.7%
Loseアフィリエイトメディア-39.9%
Lose中古車買取-10.9%
Loseレンタルバイク-70.5%
Lose車情報メディア-18.8%
 

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。