2024年11〜12月 Google コアアップデートについて

2024年11〜12月Google コア アップデートについて

Google は、2024年11〜12月にわたり、二度のコアアップデートのリリースを発表しました。
 
  • November 2024 core update:2024年11月11日〜2024年12月5日
  • December 2024 core update:2024年12月12日〜2024年12月18日
 
その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなカテゴリで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。 定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2024年8月のものでした。それに関する情報は「2024年8月 Google検索 コア アップデートについて」にまとめてあります。
 
今回のレポートデータは DemandSphere 社のデータを使用しております。

今回のアップデート動向まとめ

  • アップデートが連続して発生したが変動の幅は12月のほうが大きくなっている。
  • 過去にUGCの重要性に関してのGoogle社員による発言があったが、今回のアップデートではUGCサイトで特に大きな動きが確認できた。YMYLのカテゴリでも伸ばしているのが特徴的。
  • 被リンクとランクの関係性を確認すると特に2ページ目以降のランキング帯でドメインの強いサイトが表示されやすい傾向がある。また特にHealthカテゴリでは権威性の強いドメインが上昇傾向にある。
  • 一部ホストでセパレート型のURLがPC側に寄っている。検索結果上のみの可能性もあるが、引き続きホストレベルで統一しておいた方がより好ましいと想定される。
  • 11月アップデートで記事メディアの上昇が一部確認できたものの、12月で再評価され変動している。
 

全体の変動率

11月のコアアップデートよりも12月のコアアップデートの方が変動幅が大きいことがわかる。
 
検索クエリのカテゴリ別に見ても各カテゴリ12月の方が大きめな変動となっている。
 

今回のアップデートで変動したカテゴリ

特に大きく動いたカテゴリ(11月6日と12月25日比較)は以下の通りとなった。カテゴリ別の動向は後述する。
  1. Weather
  1. Adult
  1. Manga and Anime
  1. Finance
  1. Consumer Electronics
 

大きく変動したサイト例や傾向

今回のアップデートで特に目立った動向を紹介する。

特徴1:UGCサイトの上昇が目立つ傾向

各UGCサイトで変動が確認できた。特に大手FAQサイト(赤線)は11月のアップデートで大きく伸ばし、12月もその傾向を維持している。
大手FAQサイト以外の動向。11月のアップデートでは上昇しているサイトが目立ったが、12月のアップデートでは調整が掛かっているものもある。
推測とはなるがサイト全体の品質管理面が影響していることが考えられる。
 
9月末にGoogleのダニー・サリバンがUGCコンテンツの重要性について語ったものがあった。今回の動向においてはこの言及に近い流れのように見える。
 

YMYL含め各カテゴリで伸長しているが一部のカテゴリでは調整

下記がカテゴリごとに区分したものとなる。カテゴリ別に伸び幅の大小はあるものの、大手FAQサイトにおいてはほぼどのカテゴリでも伸ばしている。
 
Financeは2回目のアップデートでややスコアが減少しているが、各YMYL領域でもスコアを大きく伸ばしている。Healthカテゴリでは病気関連のクエリ、コロナ関連のクエリなどでも上昇していることが確認できた。

サイトごとの動向が異なり、規模感や品質なども考慮していると想定される

UGCサイトの中でもコアアップデート前にはカテゴリごとに得意分野が確認できた。ただし今回のアップデートにおいては大手FAQサイトが大きく伸ばしており、他のサイトはまちまちな動きなものもある。カテゴリ特化の強さ以外にサイトの規模感や品質などが大きく影響していることが想定される。
 

その他レビュー系のUGCサイトなども上昇

各カテゴリで上昇傾向が大きいUGCサイトも確認できた。
同じカテゴリ・近い種類のサイトでもランキングを落としているものもあるためユーザーに使用されているか等も考慮されていると想定される。
 
カテゴリ:Manga and Anime
読書レビューサイト、映画レビューサイトの上昇。
 
カテゴリ:Computers Electronics and Technology
レビュー比較サイト、口コミ掲示板の上昇。
カテゴリ:Business and Consumer Services
会社の評判サイトの上昇。

特徴2:全体的に被リンクの強さも考慮される傾向

特に12月のアップデートで変化が確認できた。
1〜5位のランク帯では平均のDR(※)が大きく変化していないものの、6位以降のランキング帯のDRは全体として上昇傾向にある。これまでと比較すると相対的によく参照されているサイトが上昇傾向にあると想定される。
そのため引き続き被リンクの重要性は考慮すべき点となる。
 
※サードパーティーツール ahrefsのデータ(必ずしもGoogleの評価とは一致しない)であることには注意が必要

カテゴリ別のランキング帯*DR動向

カテゴリ別に確認したもの。カテゴリによって傾向は異なるが、6位以降のDRが上昇しているカテゴリが散見された。
 

特徴3:公共機関系ドメイン(特にgo.jpやac.jp)が上昇傾向

12月のアップデートで公共機関関連のドメインに上昇傾向が確認できる。
こちらは主にHealthカテゴリで顕著な動きとなっている。
 

特徴4:検索結果の表示がセパレートURLへ集約

一部のサイトでPCとSPセパレートのホストの表出が入れ替わっている。
従来、セパレートURL構成の場合はSPの検索結果ではSPページのホストが表出し、PCではPCページのホストが表出していた。
5月に多くのサイトでPC側のホストに集約する傾向(SPでもPCホストが表出)を確認できたが、今回その傾向がさらに強くなった。コアアップデートとは別の問題の可能性もあるが、トータルで確認するとVisibilityScoreが上昇しているものもある。
 
例1)動画配信サイトAのPCホスト(橙)とSPホスト(青)
 
例2)m.youtube.com(SP)とwww.youtube.com(PC)
 
例3)エンタメ記事メディアBのPCホスト(橙)とSPホスト(青)
 

特徴5:一部記事メディアで再評価傾向がある

11月のアップデートにおいて記事メディアの評価がやや上昇している傾向が確認できた。
また2023年のヘルプフル コンテンツ アップデートで下落した記事メディア群の一部も上昇しているものが確認できる。ただし12月のアップデートで調整され、サイトによっては元に戻したり下落しているものもある。
 

同一ドメイン内の記事メディアとDB型サイトの傾向差

下記は記事メディアとDB型サイトを同一ドメイン内に複数持つサイトのサブドメインのサイト群において確認できた動きとなる。(example.com内にdb.example.comとarticle.example.comのような群が存在する)
サイト内のVisibilityScore の大きな上位20サイトを記事主体サイトとDB型サイトに分類しその動向を確認すると、記事主体サイトは軒並み上昇の動き、一方のDB型サイトではほぼ横ばいで明確な変化はないといった違いが確認できている。
 
記事メディアとDB型サイトの動向は下記の通り。記事メディアのサイトが明確に上昇している。
 
記事メディアのホスト群。サイトによって大小はあるが11月アップデートで上昇している。
 
DB型のホスト群。11月はほぼ動かず、12月も小さめな変動に収まっている。
 

ヘルプフル コンテンツ アップデートで減少したサイト動向

ヘルプフル コンテンツ アップデート(2023年11月)以降、継続的に減少しているサイト群(記事メディアのサイト中心)となる。群としてみると継続的に下落傾向にあるが、サイトによって11月に上昇しているものも散見される。
 
群としては減少傾向。
 
個別で見ると上昇しているサイトもあり。
 
 

(その他)個別の特徴的な動向

その他、定点観測の情報を記載する。

SNS関連ではYouTubeが伸び、XドメインがTwitterドメインと入れ替わる

SNS関連はYouTubeが大きめな伸びとなり、Xドメインとtwitterドメインが交差している。
 

アダルトカテゴリでハッキングサイトが増加

ccTLDでハッキングに使用されることが多いものの動向となる。コアアップデートとは別のものとなるがAdultカテゴリで大きく動いている。
 

指名クエリでは特定ホストが複数表示されやすくなる

ホスト単位の平均表示URL数は増加している。特に指名クエリでは特定のホストが複数URL表示される。
 

カテゴリ別動向

下記は11月6日時点のVisibilityScoreと12月25日時点のVisibilityScoreを比較。カテゴリ別に差分の大きかったもの順に並べたものとなる。

1. Weather

各種天気情報サービスの表示が増加傾向となった。
12月初旬の段階で一部クエリにおいて検索結果上の表示数が増加したこと(特定のクエリにて検索結果が少ない状態となっていたが、それが増えた)が影響している。上昇したものは専門サイトが多い。
Win / Loseサイトコア前後比較_vs(割合)
Win天気情報サイト17.1%
Winナビゲーションサービス288.8%
Winナビゲーションサービス1275.3%
Winニュースサイト35.3%
Win特化天気情報サイト403.1%
Win天気情報サイト139.3%
Win受験サイト28.8%
Win天気情報サイト175.3%
Win天気情報サイト275.5%
Win天気情報サイト317.8%
Loseハッキング-100.0%
Lose動画配信サイト(セパレートURLの集約)-67.3%
Loseニュースサイト-37.7%
Loseニュースサイト-18.9%
Loseサービス終了-100.0%
LoseSNS(ドメイン変更)-30.1%
Loseハッキング-100.0%
Loseニュースサイト-25.5%
Lose記事メティア-15.6%
Loseアプリストア-64.2%

2. Adult

前述した大手FAQサイトが上昇している反面、アダルト専門の掲示板が減少傾向にある。
また前述の通りアダルトカテゴリにおいてはハッキングサイトが期間中に大きく増減を繰り返しており、変動率に影響している。
Win / Loseサイトコア前後比較_vs(割合)
WinSNS(ドメイン変更)412.2%
WinDB型35.3%
WinDB型(セパレートURLの集約)35.3%
Winハッキングサイト-
WinDB型6.7%
WinDB型982.4%
WinUGC(FAQ)148.1%
WinDB型86.8%
Win動画配信サイト(セパレートURLの集約)58.8%
WinDB型3.9%
LoseDB型-51.8%
Loseハッキングサイト-100.0%
LoseSNS(ドメイン変更)-39.4%
LoseDB型-17.9%
LoseDB型(セパレートURLの集約)-93.1%
LoseUGC(bbs)-26.1%
Lose動画配信サイト-21.1%
Lose動画配信サイト-33.3%
LoseDB型-85.7%
LoseDB型-11.6%

3. Manga and Anime

上下幅の大きいサイトの上位はドメイン変更によるものやセパレートURLの集約によるものとなる。それ以外では大手FAQサイトに加えてレビュー系のUGCも上位に来ていることが特徴となった。コミック配信サイトの中でも口コミコンテンツを設けているものもあるがその点とは無関係に減少傾向にあるサイトもある。
Win / Loseサイトコア前後比較_vs(割合)
WinSNS(ドメイン変更)981.2%
Win動画配信サイト(セパレートURLの集約)104.4%
Win動画配信サイト(セパレートURLの集約)200.1%
WinUGC(FAQ)332.6%
WinUGC(review)59.8%
WinEC166.9%
Win配信サイト34.9%
Win動画配信サイト136.1%
WinEC19.5%
Win辞書サイト5.0%
LoseSNS(ドメイン変更)-69.0%
Lose配信サイト-28.5%
Lose配信サイト-12.9%
Lose動画配信サイト(セパレートURLの集約)-80.5%
LoseEC-4.4%
Lose動画配信サイト(セパレートURLの集約)-99.2%
Lose配信サイト-26.7%
Lose配信サイト-11.6%
Lose配信サイト-42.9%
Lose閉鎖-87.2%

4. Finance

金融カテゴリにおいては公式サイトが伸び、寄生サイトはもとより、比較サイト・記事メディアなどが下落する傾向にあった。
YMYL領域としてより厳しく信頼性やコンテンツの品質が見られているものと思われるが、この中でも大手FAQサイトが上昇しているのは特徴的な部分となっている。
Win / Loseサイトコア前後比較_vs(割合)
WinUGC(FAQ)284.7%
Win動画配信サイト(セパレートURLの集約)89.7%
Win記事メディア14.8%
WinSNS(ドメイン変更)273.4%
Winニュースサイト39.7%
Win公式サイト11.9%
Win辞書サイト28.1%
Win公式サイト7.3%
Win比較サイト347.2%
Win公式サイト14.8%
Loseハッキングサイト-100.0%
Lose動画配信サイト(セパレートURLの集約)-74.4%
Lose寄生サイト-86.7%
Lose比較サイト・記事メディア-9.3%
Lose比較サイト・記事メディア-16.4%
Lose寄生サイト・記事メディア-75.8%
Lose公式サイト-11.8%
Lose寄生サイト・記事メディア-72.0%
Lose寄生サイト・記事メディア-11.8%
LoseSNS(ドメイン変更)-24.2%

5. Consumer Electronics

クエリの特性上ECサイトの上下が確認できるが、Financeカテゴリと異なり記事メディアが上昇している。
この中にある「比較サイト・記事メディア」においてはFinanceでは下落しているもののConsumer Electronicsでは上昇、「記事メディア」においてはヘルプフル コンテンツ アップデートで減少したサイトの一つとなっているが若干の回復傾向が確認できる。
Win / Loseサイトコア前後比較_vs(割合)
Win動画配信サイト(セパレートURLの集約)182.2%
WinEC63.8%
WinEC24.2%
WinUGC(FAQ)465.4%
WinEC5.2%
Win比較サイト・記事メディア3.5%
Win比較サイト(セパレートURLの集約)2.3%
Win記事メディア7.9%
WinEC78.1%
WinSNS(ドメイン変更)558.1%
Loseオークションサイト-57.6%
Lose動画配信サイト(セパレートURLの集約)-71.1%
Loseハッキング-100.0%
Loseレンタルサービス-37.4%
LoseEC-6.8%
Lose比較サイト(セパレートURLの集約)-86.4%
Loseフリマサイト-14.2%
LoseEC-29.9%
LoseEC-2.6%
LoseEC-28.9%
 

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。