2024年8月 Google検索 コア アップデートについて

 

2024年8月 Google 検索 コア アップデートについて

Google は、2024年8月16日、コアアップデートのリリースを発表しました。ロールアウトは9月4日まで続き、その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなジャンルで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。 定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2024年3月のものでした。それに関する情報は「2024年3月 Google コア アップデートについて」にまとめてあります。

今回のアップデート動向まとめ

  1. コアアップデート期間中の先週比では、3月コアアップデートより変動が大きかったが、コアアップデート期間前後での変動率では 8月コアアップデートのほうが小さかった。
  1. 事前にアナウンスされていたとおり、上昇した Domain 群では小規模と思われるサイトが散見された。小規模サイトの上昇は順位帯の上位 / 中位 / 下位問わず確認できたが、上昇の幅は小幅なものとなっている。
  1. 一方の大規模サイトでは下落傾向の Domain が散見されたが、ランキング自体の低下と併せて 1クエリあたりに表示される1 Domain の URL 表示数が減少しており、小規模サイトとの入れ変わりが生じていた。大規模サイトの URL 表示数は直近減少しているが、通年の増加幅と比べると減少幅は小さい。
  1. 2023年9月のヘルプフルコンテンツアップデートにおいて下落となったサイトはそれ以降も続落、3月コアアップデートでも下落の動きが散見されていたが、今回の8月コアアップデートでは上昇に転じた Domain が一部確認できた。
  1. 本レポートはコアアップデートの終了から2週間経過 (9/18) 時点で作成しているが、この時点においてコアアップデート終了後の大きな変動は発生していない。

大きく変動したサイト例や傾向

特徴1:ドメインの強いサイトが下落傾向、小規模と思われるサイトが上昇となっているが上昇幅は大きくない

コアアップデート以降、各ランキング帯の平均のDR(※)が減少している傾向にある。
※サードパーティーツール ahrefsのデータ(必ずしもGoogleの評価とは一致しない)であることには注意が必要
切り口を変えて各ランキング帯のDR別の動向を確認するとDRが低い Domain が各ランキング帯で増加傾向にある。
DR10〜30の動向
ただし年間を通してみるとインパクトの大きな戻り傾向ではないこともわかる。

特徴2:大規模サイトを中心に1クエリに表示される1ホストの複数URLの表示数が減少傾向

8月コアアップデートのロールアウト直前から大規模サイトを中心に1クエリに表示される1ホストの複数URLの表示数が減少傾向となっている。2月末頃の3月コアアップデートの直前、5月末頃にも減少しており、直近半年ほどは減少傾向が続いている。
指名クエリ・非指名クエリともに同様の傾向。
ただし、年間を通してみると昨年末頃の水準にまでは落ちていない。
1ホストあたりの表示数が減少したことで、ランキングに表示されるホストの種類は増加した。
ランキング下位の 46-50 位帯を除き、ホスト数の種類が増加している。
複数URLの表示数が減少したサイトの事例(某大手ECサイト)。2枠目に表示されるURLが大きく減少しているが、最上位に表示されるURLのランキングに変化はないため実際の流入には大きな影響ないと思われる。

特徴3:ヘルプフルコンテンツアップデートで影響を受けたサイトにおいて、一部サイトが上昇傾向に転じた

ヘルプフルコンテンツアップデートで下落したサイト群に関しても、僅かではあるが全体で上昇傾向にある。
 
ヘルプフルコンテンツアップデートで下落影響のあった 40サイトほどが 8月のコアアップデートでどのような動向となったか内訳を集計した。
約8割のサイトはヘルプフルコンテンツアップデートで下落したままとなっていたが、約2割のサイトは上昇に転じた。下落したサイト群、上昇したサイト群どちらも情報ブログがほとんどとなっているが、一見してコンテンツ品質の違いは確認できなかった。
HCUで下落、8月CUで上昇HCUで下落、8月CUは横ばいHCUで下落、8月CUでも下落
7 件(16 %)34 件(79 %)2 件(5 %)
 
HCUで下落、8月CUで上昇したサイト群(対数)
HCUで下落、8月CUでも下落したサイト群(対数)

特徴4:コアアップデート期間中に Health カテゴリの強調スニペットが大きく減少

コアアップデートの影響を受けた変化ではないと思われるが、強調スニペットの表示動向に変化のあるカテゴリが確認できた。
Health カテゴリはコアアップデートの期間中に 8/14(3,553 件)→ 9/4(3,071 件)と 13 % ほど減少した。
Health カテゴリの強調スニペットが減少した サイト 上位 10 件
#サイトCU前(8/14)最新(9/4)差分
1製薬会社13163-68
2病院検索160-16
3医療情報検索2612-14
4症状検索118108-10
5病院公式145-9
6看護師メディア1910-9
7wiki2315-8
8病院公式113-8
9病院公式136-7
10医療機関103-7
なお、Health カテゴリでは減少しているが、Games カテゴリは増加となっている。 8/14(144 件)→ 9/4(310 件)と 215 % ほど増加している。

特徴5:SNSは3月コアアップデート以降も継続上昇していたサイトが下落となった

主要SNSは8月コアアップデートの影響で上昇となったサイトは確認できなかった。「tiktok.com」「lemon8-app.com」は前回の3月コアアップデート以降、上昇の動向を見せていたが今回のコアアップデートでは下落となっている。「pinterest.jp」も同様に3月コアアップデートでは上昇となったが、その後に下落から上昇となり今回の8月コアアップデートで下落となった。
www.tiktok.com の動向、カテゴリ問わず下落している。
www.lemon8-app.com も同様にカテゴリ問わず下落している。
www.pinterest.jp は下落せず横ばいで推移したカテゴリも確認できるが、Visivility Score の大きな主要なカテゴリでは下落の動きが散見される。

カテゴリ別動向

変動率(前週比)は以下の通りの動向となった。
ロールアウトから 2週間経過した頃、期間の中盤で大きくスパイクした。先週比での変動率の最大値は 3月のコアアップデートより大きかったことが確認できる。

全体の変動率

 

今回のアップデートで変動したジャンル

特に大きく動いたジャンルは以下の通りとなった。
  1. Manga and Anime
  1. Adult
  1. Weather
  1. Finance
  1. Health
 
前回、3月コアアップデート(3月6日 vs 4月24日)の変動率との比較。
コアアップデート前後でのカテゴリ別の変動率は概ね3月コアアップデートのほうが大きかった。
 
変動した上位4カテゴリに関しての詳細データは以下の通りとなる。(Adult は割愛)
上昇した Win グループと下落した Lose グループから変動の顕著な Domain をピックアップした。

1.Manga and Anime

Win グループの上位にはマンガ配信サイトが多数並ぶ結果となった。一方、Lose グループにもマンガ配信サイトが確認できるが「マンガ配信_a(SPサイト)」は「マンガ配信_a」との入れ替わりによる下落と思われる。その他、書店、ECサイトなども確認できることから電子書籍への検索ニーズが大きく評価されたような動向も伺える。
Win / Loseサイト前後の差前後の変化率
Winマンガ配信_a2,232,5782433.47%
Winマンガ配信_b1,952,073226.78%
Winマンガ配信_c1,184,75982.96%
Winマンガ配信_d1,095,23226.26%
Winマンガ情報_e966,23631.30%
Winマンガ配信_f885,61690.68%
WinECサイト(マンガ)_g844,34729.98%
WinSNS_h830,36361.26%
Winレンタル_i748,702138.48%
Win情報メディア_j746,92188.87%
Lose情報メディア_k-441,052-73.59%
Loseマンガ配信_l-574,533-29.61%
Loseマンガ配信_a(SPサイト)-598,074-93.77%
Lose動画配信_n-798,826-33.05%
Lose書店_o-805,122-29.71%
Lose辞書_p-895,288-30.75%
Lose情報メディア_q-1,288,742-24.29%
LoseECサイト_q-1,703,244-46.48%
Lose書店_s-1,766,920-95.45%
LoseSNS_t-2,263,035-43.22%

2.Weather

Weather カテゴリ全体ではコアアップデートの初動から大きく変動し、その翌週以降も大きく変動していた。
Win グループには全国の天気情報を備えたサイト、大手の新聞社やテレビ局のニュースメディアが並ぶ結果となった。一方の Lose グループにも天気情報サイトが確認できるが局地的な天気情報のサイトであったり、全国の天気情報を備えるものの知名度で劣るような天気情報サイトとなっており、変動の顕著な Domain 群を確認する限りではサイト規模や知名度など大手サイトがより評価される傾向が伺えた。
Win / Loseサイト前後の差前後の変化率
Win天気情報(全国)_a3,471,450128.66%
Win天気情報(全国)_b1,551,064156.60%
Win天気情報(全国)_c727,37071.19%
Win天気情報(全国)_d634,42032.76%
Winニュース_e238,57921.56%
Winニュース_f199,82122.19%
Winニュース_g134,13243.00%
Win天気情報(全国)_h132,26856.24%
Win新聞社_i99,86739.52%
Win天気情報(全国)_j92,823378.09%
LoseSNS_k-84,012-51.03%
Lose辞書_l-88,463-23.59%
Lose山岳情報_m-89,767-95.14%
Lose天気情報(札幌)_n-91,844-27.90%
Lose天気情報(関東)_o-101,049-45.03%
Lose書籍配信_p-104,653
LoseSNS_q-135,051-50.10%
Loseブログ_r-159,008-58.88%
Lose天気情報(全国)_s-223,446-20.16%
Lose天気情報(全国)_t-357,345-53.49%
 

3.Finance

Win グループには金融系の情報メディアが複数確認できる、Lose グループにも同系統のメディアが複数確認できるがこちらのサイトは寄生サイト疑いのサイトとなっている。
「ITメディア_j」が上昇、「ITメディア_k」は下落となっているが、この動向は Finance のカテゴリに限らずその他のクエリカテゴリにおいても同様の動きとなっている。類似するメディアでコンテンツ品質も一見して大きな違いは確認できないが異なる動向となった。
Win / Loseサイト前後の差前後の変化率
Win仮想通貨情報_a493,13654.74%
Winクレジットカード_b400,29024.94%
Winプレスリリース_c391,98634.57%
Win金融情報_d338,2751813.85%
Win保険・金融情報_e258,58563.64%
Winメディア_f219,52925.91%
Win金融情報_g215,727162.52%
Winポイント交換_h174,86446.96%
Win生命保険_i143,807102.35%
WinITメディア_j133,025174.53%
LoseITメディア_k-217,372-33.03%
Loseポイント交換_l-239,274-39.49%
Loseモニター募集_m-306,469-66.16%
Loseメディア_n-397,987-25.18%
Lose株式銘柄の検索_o-434,122-20.29%
Lose株式銘柄の検索_p-465,577-40.36%
Lose仮想通貨情報_q-583,095-42.44%
Lose保険_r-815,724-77.47%
Loseふるさとの納税_s-838,466
Loseメディア_t-860,212-84.16%

4.Health

Win グループ、Lose グループどちらにも病院検索サイト、病院公式サイトなどが複数確認できる。
両群の同種別のサイトの違いを定性的に確認するかぎりでは、病院検索サイトでは病院の基本情報のボリュームであったらサイト内回遊の利便性などの劣位、病院公式サイトでは病気や症状の解説記事などでより知識の浅い一般的なユーザーでも読みやすく情報提供されているかなどユーザー行動において差があるように思われた。
Win / Loseサイト前後の差前後の変化率
Win病院検索_a1,566,892115.07%
Win病院検索_b1,529,32549.65%
Win病院検索_c1,510,13082.18%
Win病院公式_d967,80095.60%
Win病院公式_e708,19623.04%
Win病院公式_f603,24385.68%
Win医療求人_g565,06262.39%
Winプレスリリース_h561,31343.27%
Win病院検索_i527,11084.68%
Win病院公式_j526,39699.98%
Lose病院検索_k-450,074-42.28%
LoseECサイト_l-454,181-64.34%
Lose病院検索_m-502,589-32.89%
Lose病院公式_n-530,510-22.56%
Lose病院公式_o-575,882-69.85%
Lose地図検索_p-634,998-48.38%
Lose病院公式_q-671,945-87.65%
Lose病院検索_r-817,965-60.02%
Lose外務省_s-824,783-32.73%
Lose地図検索_t-2,206,813-71.02%

今回のアップデート動向まとめ

  1. コアアップデート期間中の先週比では、3月コアアップデートより変動が大きかったが、コアアップデート期間前後での変動率では 8月コアアップデートのほうが小さかった。
  1. 事前にアナウンスされていたとおり、上昇した Domain 群では小規模と思われるサイトが散見された。小規模サイトの上昇は順位帯の上位 / 中位 / 下位問わず確認できたが、上昇の幅は小幅なものとなっている。
  1. 一方の大規模サイトでは下落傾向の Domain が散見されたが、ランキング自体の低下と併せて 1クエリあたりに表示される1 Domain の URL 表示数が減少しており、小規模サイトとの入れ変わりが生じていた。大規模サイトの URL 表示数は直近減少しているが、通年の増加幅と比べると減少幅は小さい。
  1. 2023年9月のヘルプフルコンテンツアップデートにおいて下落となったサイトはそれ以降も続落、3月コアアップデートでも下落の動きが散見されていたが、今回の8月コアアップデートでは上昇に転じた Domain が一部確認できた。
  1. 本レポートはコアアップデートの終了から2週間経過 (9/18) 時点で作成しているが、この時点においてコアアップデート終了後の大きな変動は発生していない。

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。