2024年3月Google コアアップデートについて

 
 
 

2024年3月 Google コア アルゴリズム アップデートについて

Google は、2024年3月6日、コアアップデートのリリースを発表しました。ロールアウトは4月19日まで続き、その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなジャンルで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。 定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2023年11月のものでした。それに関する情報は「2023年10月および11月のGoogle コア アルゴリズム アップデートについて」にまとめてあります。
 
 
今回のレポートデータの一部は DemandSphere 社のご協力をいただいております。
 

今回のアップデート動向まとめ

  1. 全体としては直近の動向と比較すると相対的に小さい動きとなった。よく動いたTOP5のジャンルは順番にManga and Anime・Weather・Consumer Electronics・Games・Home and Gardenとなっている。
  1. テキストコンテンツ系のサイトは従来と同じく情報の品質が精査されているような動向が確認でき、前年のヘルプフルコンテンツアップデートで下落したようなサイトはさらにランキングを落とすような動向が確認できる。FAQサイトや辞書サイトの一部でも今回のアップデートの影響を受けているものがあった。
  1. ホストの強さとランキングの相関性は依然として強めの傾向が出ており、特に弱いサイトにおいては目立った下落が確認できる。検索結果の上位に表出するには従来以上に一定の評判や参照を集めることが必要になっている。
  1. 一方でホストが強くとも下落しているものもある。これらはユーザーにとっても利便性やコンテンツのマッチ度などを加味した上で評価が下がっているものと想定される。
  1. 上昇したサイトや下落したサイトの切り口を変えて動向を確認すると、同じサイトの中でも上昇している部分・下落している部分が異なる傾向が出ているものがある。ユーザーにとって付加価値があるかどうかの指標の一つになると想定される。確認することで相対的に弱い部分を補強していくのか、ないしは、強い部分をさらに伸ばしていくのかなど今後の検討として考慮することも可能となる。
 

全体の変動率

変動率(前月比)は以下の通りの動向となった。
一定数の変動はあるもののアップデート以前の動きと比較するとやや小さめの動向に収まっている。

カテゴリ別の変動率

全体と同じく各カテゴリでもアップデート以前と比較するとやや小さめな動きとなっている。
 
 

大きく変動したサイト例や傾向

全体として目立った傾向は次の通りとなる。

特徴1:コンテンツの品質精査が進んでおりヘルプフルコンテンツアップデートで影響を受けたサイトはより下落傾向に。

今回のアップデートで目立って下落したものの一つにテキストコンテンツ系のサイトがある。ヘルプフルコンテンツアップデートで影響を受けたような「おすすめ◯選」系のサイトが各ジャンルでも検索の露出が減少していることが確認される。
 
以下はヘルプフルコンテンツアップデートで影響を受けたサイトとなる。継続的に減少傾向にあることがわかる。
 
長期で見た動向は以下の通り。ヘルプフルコンテンツアップデート以降、Googleの考える品質基準が厳格化している傾向がわかる。サイト群の動向を見ると、検索に表示されるスコアが全盛期の3分の1程度になっている。
 

特徴2:FAQサイトは全体的に下落傾向が確認される

またテキストコンテンツサイト以外の部分ではFAQサイトにも大きな下落傾向が確認できた。
 
以下のグラフでは最大手のサイトの下落が目立っているが他のサイトでも下落傾向が確認される。情報の信憑性やコンテンツのマッチ度においてネガティブな影響があったのではないか。
 
最大手のサイトを除外したもの。多くのサイトで下落傾向が多い。
 

特徴3:辞書型のコンテンツでも明暗

辞書型のサイトにおいては前述のコンテンツのように一様に落ちているわけではないものの、サイトによって影響を受けているものが確認できる。これらも一定品質の精査の影響を受けていると思われる。なお、ホストの強さにかかわらず上下している動きが見える点も特徴。
 
こちらは最大手のサイトに大きな動きはなかった。
 
最大手のサイトを除外したもの。特定ジャンルの辞書サイトでも上下したり入れ替わっている例が確認できた。
 

特徴4:ホストの強さとランキングの相関性は依然として強め

ホストの強さ(DR ※)とランキングの関係性は依然として強めとなっており、質の良いバックリンクを集めている(≒良いサイトに参照されている)サイトが上位にいる傾向にある。今回のアップデートでもその動向が強くなった。
※サードパーティーツールahrefsのデータ(必ずしもGoogleの評価とは一致しない)であることには注意が必要
 
各順位帯のホストの強さ別の動き。ホストが弱いサイトに関しては顕著に下落傾向が出ている。
 
DR0〜30をハイライトしたもの。多くのランキング帯で減少傾向が強い。他のサイトからの質の良いリンクを獲得していないサイトは上位に表示されにくくなっていることがわかる。
 

特徴5:ホストが強くとも下落しているサイトはユーザーの利便性などを考慮されたものか

全体的な動向で様々なサイトから参照してもらうことは依然として重要であることは確認できた。
一方でホストの強さがあるに関わらず下落したり、弱くとも上昇している事例も目立つ。こうしたサイトはユーザーにとっての利便性などの良し悪しが判断され変動をしている可能性が高い。
各クエリ群でホストのスコアに関わらずランキングの上下に関わらず入れ替わっているものが確認できる。
 
以下は特定のクエリ群で見たサイトの動向となる。(数値はホストの強さ)
 
  • 病院・エリア系クエリ
 
  • 求人系クエリ
 
  • ガーデニングクエリ
 
  • レジャークエリ
 

特徴6:ジャンルやサイトの特性による変化

サイトによるジャンルの強みや弱みなどで変動が異なる例もあった。これらはクエリ(カテゴリ)ベース、ディレクトリベースで切り口を分けてみると確認を行いやすい。

例:YouTube vs TikTok

YouTubeとTikTokの検索結果の表示スコアを比較するとYouTubeが継続的に上回っている傾向にある。
ただしカテゴリ別の切り口で確認すると違った傾向が確認できる。
 
こちらがカテゴリ別の傾向となる。Arts & EntertainmentとPets and Animalsにおいて異なる傾向が見える。
 
拡大すると次のようになりTikTokがコアアップデート以降、YouTubeを上回っていることがわかる。これらのカテゴリ(クエリ群)でTikTokが強みを持っている可能性が高いことが推測される。
 

例:中古販売サイトのディレクトリ別動向

またサイトごとのディレクトリの動向に異なる傾向が出ている場合もある。
以下は中古販売サイトの事例となる。
 
スコアの全体動向を見るとアップデート以降大きく下落している。
 
こちらをディレクトリ別に確認すると次のようになる。
このサイトでは「新品」「まとめ買い」「中古品」のディレクトリが集客力が高い傾向にあった。いずれのディレクトリも下落の傾向はあるが特に新品ページが大きく下落しており、専門の中古品のページにおいては下落幅が少ない。
サイトにとっての強みではないページがランキングを落としていると推測される。
 

特徴7:スパムアップデート後もハッキングスパムは検索結果に表出している

カテゴリ別の動向でも確認できた通り、スパムアップデートが完了した後にもハッキング系のスパムは増加傾向にある。
これらのサイトは複数のドメインで表出し、一瞬のうちに消えていくものの総数としては徐々に増加している。
 
 
 

今回のアップデートで変動したジャンル

3月6日と4月24日のデータを比較した際に、特に大きく動いたジャンルは以下の通りとなった。
  1. Manga and Anime
  1. Weather
  1. Consumer Electronics
  1. Games
  1. Home and Garden
 
 
変動した上位5カテゴリに関しての詳細データは以下の通りとなる。

1. Manga and Anime

ECサイト、動画サイト、電子書籍サイトなどさまざまな種類のサイトが確認できるが各サイトにて明暗が分かれた状況となった。これらのサイトにおいてはホストの強さなどに過度な差があるものだけではなかった。ホストの強さ以外のユーザーにとっての利便性や、サイトの特性(強み)、コンテンツのマッチ度によって差がついたものと想定される。
「寄生サイト_c」においてはこの期間では上昇しているものの、コアアップデート以降の5月5日のサイトの評判の悪用の対応時に大きな下落が確認できている。
Win / Loseサイト前後比VS前後比_vs(割合)
WinECサイト_a56720089.4%
Winテキストコンテンツ_b3151662.556.7%
Win寄生サイト_c2974587.5646.1%
WinECサイト_d252630932.6%
Win電子書籍_e25229078.3%
Winハッキング_f2173282.5-
WinECサイト_g205754821.6%
Win動画サイト_h1600732.521.0%
Win動画サイト_i145641648.4%
Winハッキング_j1338807.5-
Loseハッキング_k-776224.5-96.7%
Lose専門ニュースサイト_l-829398-21.7%
Lose動画サイト_m-911636-92.4%
Lose動画サイト_n-1180248.5-8.8%
Lose電子書籍_o-1259600-69.2%
Lose辞書サイト_p-1281321-41.2%
Lose辞書サイト_q-1357012-51.3%
Lose電子書籍_r-1834430.5-20.1%
LoseECサイト_s-2014687.5-54.8%
Lose電子書籍_t-2842340.5-8.6%
 

2. Weather

コアアップデートの開始とともに表示数が上昇しているサイトが多い。
要因としてはアップデート以前のスパムの増加により一部の検索結果の表示数が少なくなっていた影響があるためと想定される。スパムアップデートが走ったためかそれらの表示数制限がなくなり、様々なサイトが表出されるようになった。
ただし、その中でも明暗はあり特化天気サイトが一般天気クエリ(地域名 × 天気など)の中では大手天気サイトと比較すると弱くなっている傾向が確認できる。もっとも大きく落ちているのは最上位の「天気サイト_t」となっているがこれは一つの検索結果に表示されるURL数がやや抑えられたことが原因となっている。
Win / Loseサイト前後比VS前後比_vs(割合)
Win天気サイト_a20956818.3%
Win地図 / 路線検索サイト_b160160822.1%
Win地図 / 路線検索サイト_c142028347.7%
WinTV局_d1250825.512.1%
Win天気サイト_e1222998.532.7%
Win地図 / 路線検索サイト_f82397662.7%
Win天気サイト_g79301515.5%
Win塾サイト_h5661145.4%
Win天気サイト_i461517.58.5%
Win天気サイト_j454453.525.6%
Lose特化天気サイト_k-249666.5-14.5%
Lose地図 / 路線検索サイト_l-266119-25.6%
Lose特化天気サイト_m-279811-18.1%
Lose天気サイト_n-280514.5-48.5%
Loseニュースサイト_o-293588.5-22.3%
Lose特化天気サイト_p-407546-28.1%
Loseニュースサイト_q-409611.5-20.7%
Lose天気サイト_r-1273990-23.4%
Lose天気サイト_s-2347604.5-43.5%
Lose天気サイト_t-4731323.5-9.6%

3. Consumer Electronics

ハッキングサイトの温床ともなりやすいジャンルのため上下したホストにハッキングサイトが多く確認された。スパムアップデートのあとにもハッキングサイトが増加したのもあり上昇したホストの中でハッキングサイトが散見される。
特徴的な面としてはDB型のECサイトが上昇傾向にあり、一定の品質を満たしていないと考えられた「おすすめ◯選」系のコンテンツは目立った下落傾向にあるところとなる。
上昇傾向の強いコンテンツ型のサイトに「コンテンツ系_g」があるが、こちらはコアアップデート手前にドメイン変更されたものとなっており今後そのまま伸び続ける傾向にあるかは未知数となる。
Win / Loseサイト前後比VS前後比_vs(割合)
Winハッキング_a1861717.5-
WinECサイト_b152677024.8%
WinECサイト_c1503570.56.8%
WinECサイト_d8286358.9%
WinECサイト_e824587.52.8%
Winハッキング_f820383-
Winコンテンツ系_g778823241.7%
Winフリマ_h667790.523.7%
WinECサイト_i556632.5123.9%
Winハッキング_j464445-
Loseハッキング_k-379274.5-100.0%
Loseハッキング_l-407951.5-100.0%
Loseコンテンツ系_m-412248.5-59.4%
Loseコンテンツ系_n-560701.5-25.0%
LoseECサイト_o-608949.5-19.1%
Loseハッキング_p-666919-100.0%
Loseコンテンツ系_q-904969-65.8%
Loseハッキング_r-1091244-97.7%
Loseコンテンツ系_s-1752653.5-28.1%
Loseハッキング_t-2304906.5-100.0%

4. Games

ECサイト・公式サイトが上昇する傾向となった。下落しているサイトを確認するとFAQサイト、辞書サイト、攻略サイトが目立っている。辞書サイトやFAQサイトにおいては情報の信憑性・ユーザーにとっての利便性の面でやや弱い箇所があったのではないかと想定される。
Win / Loseサイト前後比VS前後比_vs(割合)
WinECサイト_a3456474.519.9%
WinECサイト_b211334628.5%
Winハッキング_c2076464-
Win動画サイト_d941875.547.4%
WinECサイト_e868651.586.1%
WinSNS_f81065210.1%
Win公式サイト_g72018718.9%
Win公式(ドメイン変更)_h710258.599.7%
Win公式サイト_i696521.577.4%
WinECサイト_j601101.526.5%
Lose公式(ドメイン変更)_k-584045.5-100.0%
LoseFAQサイト_l-595203.5-19.7%
LoseECサイト_m-690136-48.7%
Lose攻略サイト_n-736779.5-29.9%
Lose辞書サイト_o-736915.5-61.1%
Lose辞書サイト_p-1430847.5-39.9%
Lose辞書サイト_q-1489382-30.9%
Loseハッキング_r-1494599.5-100.0%
Lose攻略サイト_s-1521551.5-21.2%
Lose公式(ドメイン変更)_t-1938441-33.8%

5. Home and Garden

全体的にConsumer Electronicsと近く大手ECサイトが上昇傾向、コンテンツの一定品質に満たないものが目立った下落傾向にある。
このジャンルにおいてもハッキングサイトの温床になりやすいため上下ホストにハッキングサイトが多く含まれている。
Win / Loseサイト前後比VS前後比_vs(割合)
WinECサイト_a6051571.585.0%
WinECサイト_b31422226.1%
Winハッキング_c2462173.5-
Winハッキング_d1934837-
Win比較サイト_e1789666.515.0%
WinECサイト_f1402544.53.0%
Winハッキング_g990881.5-
WinECサイト_h96686711.1%
Winハッキング_i904141.5-
WinECサイト_j88982235.2%
Loseハッキング_k-634074-100.0%
Loseコンテンツ系_l-648631-67.2%
LoseECサイト_m-683345.5-15.9%
Loseハッキング_n-695961.5-100.0%
Loseハッキング_o-822246-39.2%
Loseドメイン変更_p-836096.5-99.6%
Loseコンテンツ系_q-1150118-33.2%
Loseハッキング_r-1174452.5-100.0%
Loseハッキング_s-1955480-95.6%
Loseハッキング_t-5668086.5-100.0%
 

今回のアップデート動向まとめ

  1. 全体としては直近の動向と比較すると相対的に小さい動きとなった。よく動いたTOP5のジャンルは順番にManga and Anime・Weather・Consumer Electronics・Games・Home and Gardenとなっている。
  1. テキストコンテンツ系のサイトは従来と同じく情報の品質が精査されているような動向が確認でき、前年のヘルプフルコンテンツアップデートで下落したようなサイトはさらにランキングを落とすような動向が確認できる。FAQサイトや辞書サイトの一部でも今回のアップデートの影響を受けているものがあった。
  1. ホストの強さとランキングの相関性は依然として強めの傾向が出ており、特に弱いサイトにおいては目立った下落が確認できる。検索結果の上位に表出するには従来以上に一定の評判や参照を集めることが必要になっている。
  1. 一方でホストが強くとも下落しているものもある。これらはユーザーにとっても利便性やコンテンツのマッチ度などを加味した上で評価が下がっているものと想定される。
  1. 上昇したサイトや下落したサイトの切り口を変えて動向を確認すると、同じサイトの中でも上昇している部分・下落している部分が異なる傾向が出ているものがある。ユーザーにとって付加価値があるかどうかの指標の一つになると想定される。確認することで相対的に弱い部分を補強していくのか、ないしは、強い部分をさらに伸ばしていくのかなど今後の検討として考慮することも可能となる。
 

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。