2023年10〜11月Google コアアップデートについて

2023年10月〜11月 Google コアアップデートについて

Google は、2023年10月から11月に連続してコアアップデートのリリースを発表しました。
 
  • October 2023 core update(2023年10月5〜19日)
    • ※October 2023 spam updateも同期間に展開(2023年10月4〜19日)
  • November 2023 core update(2023年11月2〜28日)
 
その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなジャンルで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。 定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2023年8月のものでした。それに関する情報は「2023年8月 Google コアアップデートについて」にまとめてあります。

10月〜11月のアップデート動向まとめ

  • 変動幅は10月のアップデートが8月に近い規模だったのに対して11月は小幅な変動となった。
  • 10月のアップデートでは用語集などのサイトや、品質が一定に満たないコンテンツサイトが目立った減少傾向にあった。
  • バックリンクの評価も上昇しているが、クエリに対してそのhostがどれくらいの信頼性のある情報を持っているかを反映しているような動きも確認できる。
  • 11月はそれらに加えサイト内検索ページに目立った減少傾向があった。またYouTubeの表示割合が大きく増加している。
  • ディレクトリ貸しサイトやハッキングサイトなど、スパム傾向の強いものは継続的に減少傾向にある。
  • その他、一つの検索結果に対してhostが複数表示されるような傾向が強化されている。

変動状況について

全体動向とジャンル別動向の推移を確認した。

全体の変動率

8月から断続的にアップデートが展開されているが10月のアップデートが8月に近い規模だったのに対して11月は小幅な変動となっている。
 

ジャンル別の動向

ジャンル別の動向を見ても10月は全体的に一定数動いたものの、11月は小さめな動向となっていた。
 
一方で11月の変動で特に大きく動いたジャンルにおいては10月のアップデートよりも変動幅が大きいものも確認できた。下記は11月のアップデートで特に大きく変動したジャンルをハイライトしたものとなる。
 
特にAdult、Healthジャンルにおいては10月よりも大きく変動している傾向にある。
 

各アップデートで大きく変動したサイト例や傾向

今回の変動で大きく動いた例を紹介する。

サイト別の特徴的な事例

 

1. 用語・辞書サイトの減少(10月)

10月のアップデートではWikipediaなどの用語・辞書系サイトに下落が目立った。
特にHealth関連クエリでは減少が大きい傾向が確認できる。
 
用語・辞書系サイト群全体の動き
host別に分類すると以下のようになり、最上位はWikipediaとなる。
 
上記からWikipediaを除外したもの。Wikipedia以外にも各サイトで下落傾向にあるものが目立つ。
 
この中でWikipediaに絞って確認を行った。
特に大きく動きが確認されたManga and Anime、Games、Healthに絞り込んでみると特徴的な傾向が確認できる。
Manga and Anime、GamesなどはURL数がほぼ減少しておらずランキングの下落のみとなっている。一方でHealthはクエリ数・URL数が減少しており検索結果の上位から消えている傾向が強いことがわかる。
 
HealthジャンルのWikipediaのVisibilityScore動向が以下の通りとなる。
アップデートのタイミングで病名関係で特に表示されにくくなっていることが確認できる。
 
こうした動きから、単純なhostの強さや知名度のみではなく、クエリに対してそのhostがどれくらいの信頼性のある情報を持っているかを反映しているのではないかと想定される。
 

2. 品質が一定に満たないテキストコンテンツにダウントレンド(10〜11月)

ヘルプフルコンテンツアップデート以降、品質が一定に満たないと思われるテキスト中心のサイトが大きく減少傾向にあった。
 
以下はそれらのサイトの動向をまとめたものとなる。
ヘルプフルコンテンツアップデート以降、アップデートのたびに検索への表示が減少している傾向が確認できる。
 
これらのサイトには以下のような傾向が確認できた。
  • 広告が多い・アフィリエイト色が強い。
  • 著者情報無し(ないからNGというわけではなく、誰が書いても一緒のようなコンテンツが多い)
  • 付加価値が少ない(きちんと吟味されていない「おすすめ◯選」などの記事など)
 
品質が一定に満たないテキストサイトと入れ替わるような形でECなどDB系のサイトが上昇する動きが確認できた。この動きも継続的なものとなっている。
 
 

3. サイト内検索ページの下落傾向(11月)

サイト内検索関連のURL群に減少傾向が確認できた。
サイト内検索をGoogleの検索結果に表示させるのは「(Googleの)検索結果に(サイト内の)検索結果を見せる」という状態になり、検索ユーザーフレンドリーではない点から下落に結びついていると想定される。
また検索結果上から上記のようなURL群が落ちているものの、他のページが代替として表出し、全体では影響度の低いサイトもあった。
 
主要なサイト内検索URL群(ジャンル別動向)は以下の通りとなる。
対数目盛
 
 
例:大手通販サイトA
サイト内検索ページが減少し、静的ページが上昇している。
 
入れ替わる形で全体では上昇している。
 
例:大手サイトB
多くがサイト内検索ページで構成されており、全体で減少傾向にある。
全体像。減少している。
 

4. ディレクトリ貸しサイト動向(10〜11月)

ディレクトリ貸しサイト(ホストレンディング)はアップデートを重ねるごとに徐々に減少傾向にある。
 
またこれらのサイトは下落後にURLを変更して回避するという手法を取っていることが多かったが、回避後の捕獲速度も非常に早くなっていることが直近のアップデート付近では確認できている。
 
例1:クリニックA
ディレクトリA → ディレクトリB → ディレクトリC → ディレクトリD と移転を繰り返しているがすぐに捕獲されている。スコアも減少していく傾向にある。
 
例2:金融企業B
ディレクトリA → ディレクトリB → ディレクトリC → ディレクトリD と移転を繰り返してはすぐに捕獲されている。
 
 

5. ハッキングサイトは継続的に減少傾向(10〜11月)

コアアップデートとは別の動向と想定されるが、10月のコアアップデートと同時で走っていたスパムアップデート以降、ccTLDをベースとしたスパムの表出は落ち着きつつある。
 

その他特徴的な事例

その他、検索結果画面で目立った数値や関連数値の動きを紹介する。
 

1. hostあたりの画面占有率の推移が増加傾向(10月)

一つのhostのURLが検索結果に平均いくつ表示されるか(平均の表示URL数)の推移を示したもの。url / hostで計算し、Categoryでまとめた。1hostあたり1urlであれば 1となる。
  • 50位まで計測し50URL中50hostであれば 50/50 = 1
  • 50位まで計測し50URL中45hostであれば 50/45 = 1.11
のような数値になり、数値が増えれば増えるほど一つのhostが多く表示されているということになる。
 
直近で上昇傾向にあり、アップデートのタイミングで段階的に上昇していたが11月のアップデート時にはやや減少している傾向が確認できた。ただし、7月から通してみると1hostが複数表示される傾向は強くなっている。
※このデータについては指名検索と非指名検索が混在していることに注意が必要
 

2. バックリンク評価が上昇傾向(10月)

※本項についてはサードパーティーツール(Ahrefs)のためGoogleの評価しているリンクデータと必ずしも一致するわけではない点に注意が必要。
Ahrefs APIを利用してバックリンクのデータ(平均DR)をホスト単位で紐付け5位刻みでランキングとの関係について確認を行った。
 
10月のアップデート前後で比較するとアップデート前よりも平均DRが高くなっている傾向にあることが確認できる。11月のアップデートでは大きな変化が見られないものの、10月のアップデートの動きを維持している形となった。
 

3. Youtubeの表示数が増加(11月)

アップデートの終盤にYouTubeのVisibilityScoreが大きく増加した。
伸びた要因としては主に2つ確認できる。
  1. 動画枠がオーガニック枠に変化したもの
  1. クエリに対して表示数が増加したもの
1においてはGoogleの検索結果画面上の変化となっているので実質上の変化はないが、2に関してはMusicなど楽曲など動画需要の強いもので目立った変化が確認できる。
ジャンル別の動向。Musicなどのカテゴリが大きく増加しているのがわかる。ジャンルによってはこの次の週にスコアが元の水準に戻っているものも確認できた。
 
例1:動画枠がオーガニック枠に変化したもの
「アプリ開発 youtube」
11月1日
1位が動画枠で動画を複数表示
11月29日
動画枠がなくなりオーガニック枠に変化
 
例2:クエリに対して表示数が増加したもの
例「松山千春メドレー」
11月1日
9位までYouTubeで占められている
11月29日
26位までYouTubeで占められている
 

10月〜11月のアップデート動向まとめ

  • 変動幅は10月のアップデートが8月に近い規模だったのに対して11月は小幅な変動となった。
  • 10月のアップデートでは用語集などのサイトや、品質が一定に満たないコンテンツサイトが目立った減少傾向にあった。
  • バックリンクの評価も上昇しているが、クエリに対してそのhostがどれくらいの信頼性のある情報を持っているかを反映しているような動きも確認できる。
  • 11月はそれらに加えサイト内検索ページに目立った減少傾向があった。またYouTubeの表示割合が大きく増加している。
  • ディレクトリ貸しサイトやハッキングサイトなど、スパム傾向の強いものは継続的に減少傾向にある。
  • その他、一つの検索結果に対してhostが複数表示されるような傾向が強化されている。

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。