2023年3月 Google コアアップデートについて

 

2023年3月Google コアアップデートについて

Google は、2023年3月15日、コアアップデートのリリースを発表しました。ロールアウトは3月28日まで続き、その間、検索結果にはさまざまなクエリで変動が見られました。このレポートは、このコアアップデートについて、日本における日本語の検索結果に、どのようなジャンルで、どのような動きが見られたのかをまとめたものです。
定期的にリリースされるコアアップデートに関して、インターネット上では数多くの情報が出回っていますが、誤解を生むような表現が多く、参考にはならないものが多くあります。誤った情報が過度に拡散されることを防ぐために、JADE では、コアアップデートで何が起こっているかについて、弊社の見解を発表することにしています。この分析は、あくまで JADE が入手した情報に基づくものであり、Google 公式のものではありませんが、少しでも読者の参考になれば嬉しく思います。
前回のコアアップデートは、2022年9月のものでした。それに関する情報は、「2022年9月 Google コア アルゴリズム アップデートについて」にまとめてあります。
 

今回のアップデートの特徴的な動き

  • アップデート前にハッキングサイトが増加しアップデートのタイミングでさらに増加している。
  • Healthジャンルで顕著に権威性のある官公庁のサイトが伸びた。
  • ディレクトリ貸しサイトはアップデート前に大きくランキングを落としているが、今回のアップデートでは少し戻し傾向。長期では落ち続けている。
  • バックリンクは引き続き重要度が高い傾向にある。
  • ドメインの強さだけでは一過性の伸びで終わってしまうため、サービスやユーザー行動の改善も合わせて検討することが必要。
 

全体ジャンル別動向

 

今回のアップデートで変動したジャンル

アップデートの前後でどのように変化したかを変動率として抽出した。
大きく動いたジャンルの順は以下の通りとなった。(合計32カテゴリ)
変動が大きかった順TOP10 + 前回のアップデートの変動
category23年3月変動順22年9月変動順
Consumer Electronics110
Manga and Anime22
Health31
Home and Garden44
Lifestyle55
Finance68
Adult711
Games89
Weather93
Taxes1016
前回のアップデートよりも大きな変動となっているが、アップデート前にハッキング系のスパムが増えたことが要因のひとつとして考えられる。
 

変動したサイトや動向

SNS

大きく目立った動きではなかったもののTikTokが少し伸ばした。長期的にはinstagramも伸びている。
 
 

ハッキングサイトの増加

海外ドメインの下層ページにハッキングするサイトがアップデート前(2月下旬から3月初旬)から大きく増加傾向にあり、アップデート以降も引き続き改善されていない。
 
ハッキングスパムのイメージ
左「便秘サプリ」、右「小顔ローラー」
 
検索結果のハッキングと想定される海外のTLD 20種類の動向をもとにハッキングサイトの増減を推測した。
前回のアップデート時と比較するとスパムと思われるURLが1.5倍ほどになっており、アップデート後も上昇。
 
特にLifestyle、Home and Garden、Ecommerce and Shopping、Manga and Anime、Consumer Electronicsのジャンルで多く確認される。
 
1ページ目に表示されることは少ないが2ページ目以降からURLが頻出することが確認できる。これらのサイトは一瞬上がってすぐ消えていくため変動率に影響を及ぼしやすい。
そのため今回のアップデートで計測上の変動率が高いことの一員となっていると考えられる。
 

Healthジャンルが権威性を強く見る動き

厚生労働省のサイトなど権威性の強いサイトを中心に上昇傾向にある。
go.jpドメインに注目してみるとHealth系で特に大きく伸ばしている傾向にある。
 
Healthジャンルでgo.jpドメインが大きく上昇
 
go.jpドメインのVSが増加するHealthカテゴリ
 
こうした権威性の高いサイトが上がっている一方で広告収益目的のサイトは特に健康ジャンルで大きな下落が目立った。
下記はコーポレートドメイン配下などに設置されたコンテンツを中心としたサイトの動きでアップデート以降大きく下落している。
 
cf.
コロナが落ち着く前のアップデート(2022.9)ではTravelカテゴリでもgo.jpの上昇も確認できたが現在は落ち着いている。下記はTravelジャンルのgo.jpドメインの動き。
官公庁が情報を発信するタイミングにもよるものの、その都度、重要度が変化していることがわかる。
 

ディレクトリ貸しサイトの動向

ディレクトリ貸しのサイトはコアアップデートの前(2月中旬)に一斉に下落が確認された。
今回のアップデートではやや戻り傾向がある。特にFinanceジャンルでは戻っているものが目立つ。こちらは一定数ドメインの評価が加味されたことで上昇しているものと思われる。
ただし、いずれアップデートに関わらず落ちることが予測されるので、こうした施策は引き続き非推奨事項。
 

全体動向(2022年8月〜)

過去にディレクトリ貸しをしていた約300ホストの動向を確認した。
直近のアップデート以降やや上昇しているものの、継続的には下落傾向。長続きしない施策であることがわかる。
 

Finance

金融カテゴリではアップデート以降、一部のサブディレクトリ貸しサイトが戻っている傾向が特に目立つ。ただし元の水準からは遠く、ここから先評価されることも考えづらい。

Manga and Anime

VOD系のディレクトリ貸しの多いマンガ・アニメジャンルでもやや戻し。

Health

前述の通り健康ジャンルは今回のアップデートでも特に厳しく下落している。
 

ディレクトリ貸しを繰り返す危険性について

ディレクトリ貸しサイトの中にはディレクトリ名を変更しただけで伸ばしている動向のあるサイトも確認された。
ディレクトリ貸しについては低品質ペナルティが来ている例も確認されている。こうした行為を繰り返すと、コアアップデートとは無関係にペナルティがどんどん厳しくなる可能性があることにも注意をしたい。
 
cf.過去にガイドライン違反を繰り返すサイトについて述べられている動画(2013年)
 

バックリンクは引き続き重要度が高い

バックリンクの動向(β版)

Ahrefs APIを利用してバックリンクのデータ(平均backlinksと平均DR)をホスト単位で紐付け5位刻みでランキングとの関係について確認を行った。
 
例:Eコマースジャンルの平均backlinksと平均DR
 
あくまでサードパーティツールのデータではあるものの、各ディレクトリで確認してみても上位ほど良いスコアが出ており、バックリンクとランキングについてはまだ重要視されていることがわかる。
当然のことだが、リンク購入はガイドライン違反なので実施しないように注意をする、ユーザーの流入が生まれるようなリンクを獲得することが重要。
 
3月29日時点(今回アップデート終了時)のデータ
 
9月28日時点(前回アップデート終了後)のデータ(今回と大きく動向は変化していない)
 
 

ドメインだけの基準ではない。移転前水準まで戻った事例

過去に強いドメインに移行したものの今回のアップデートで下落しているサイトがあった。
データとして興味深いのは移転前とほぼ同水準になっている点、クエリをカテゴリ別に見ても移転前と同じ水準になっている点がある。
ドメインを移転してサイトの力を一時的に上げても、長期的にサービスやユーザー行動の改善などが行われないと結果的に元の水準に戻っていく例と考えられる。
(移転前ドメインのVSが青、移転後ドメインのVSがオレンジ)
 
上記のサイトをクエリ別に見ても以前のVSとほぼ同水準となっている。(下記はクエリをグルーピングしてカテゴリ分けしたもの)
 

施策として考えたほうが良いこと

  • 基本的な方向として大きな変更はない。
  • ハッキングサイトが増えている。自サイトがハッキングされないように注意する、また発見した際にはスパムレポートを活用する。
  • 特に健康ジャンルでは権威性が必要になっている。
  • ディレクトリ貸しのようなことを行っても長期的に上手くいかない。ユーザーの信頼を偽装して作ったり、結果的に検索エンジンを騙すような行為はで行わないようにする。繰り返すことでより厳しい制裁を受ける可能性がある。
  • バックリンクは引き続き重要性が高い。リンクを獲得できるようなコンテンツの施策等を検討する。
  • サイト(ドメイン)を強くすることは重要な施策の1つだが、そこだけに収束してしまい、サービス改善が上手くいかないと一過性の施策として終わってしまうこともある。施策ひとつ行うにしても何のために行うのか、ユーザーにとってどのような好影響を及ぼすのかの仮説は建てるようにしたい
 

初心者必見の解説動画

 

この分析について

データについて
  • 各カテゴリでクエリセットを生成し、定常的に一定数のクエリ(十数万種)をモニタリングしています。
  • 順位については日々細やかな変動があります。Google 全体の動きを把握しているわけではなく、正確性を保証するものではありません。単に一部分のクエリをベースにしたトレンドの観測として捉えてください。
表示回数スコアについて
  • クエリにおける順位をベースに、重み付けした数値を合計することで、計測クエリセットにおけるホストの見つけられやすさをスコア化しています。
 

YouTubeでも解説してます

2023年3月のアップデートについては、こちらのYouTubeLiveで集中的に解説しています。