【GA4での計測を前提としたサイトリニューアル】読者理解でコンテンツの質を向上させたJFCの事例

 
 

【GA4での計測を前提としたサイトリニューアル】 読者理解でコンテンツの質を向上させたJFCの事例

日本ファクトチェックセンター(JFC)はインターネット上の誤情報や偽情報を調査し、その検証結果を一般の人々に公開することを主な目的とした非営利団体です。国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の審査を通過し、認証を得ている数少ない国内団体として活動しています。
同団体では、ファクトチェックをより多くの人に届けるために、ユーザーの行動を詳細に分析し、その結果に基づいて具体的で適切なコンテンツを提供することを目指しています。その一環として、"GA4でのデータ計測・分析を前提とした"サイトリニューアルをJADEに依頼しました。
本記事では、そのプロジェクトの詳細と、結果として得られた成果について、JFCの編集長である古田大輔様と、プロジェクトを担当したJADEの郡山、長山とともに振り返ります。
 

プロジェクト概要

 

読者のことをより深く知る必要性がありました

日本ファクトチェックセンター(JFC)編集長 古田大輔様
日本ファクトチェックセンター(JFC)編集長 古田大輔様
 

今回のご依頼の背景には、どんなミッションや課題があったのでしょうか?

古田 日本ファクトチェックセンター(JFC)は、インターネット上の誤情報や偽情報を検証し、その結果を公開する組織で、そのコンテンツはウェブサイトやソーシャルメディア、動画プラットフォームなどで配信されています。また、インターネットユーザーが自分で情報を検証できるようなメディアリテラシーの講座も提供しています。対象ユーザーはインターネットを使う全ての人々だと考えています。
私たちのミッションは一つ一つのファクトを伝えることです。それを伝える手段としてのWebサイトは、特別に洗練されたデザインである必要はなく、むしろ、シンプルでわかりやすく、誰でも好む、誰もが嫌うものでないデザインがいいと思っていました。さらに、私たちのコンテンツがより広く見られるようにするためには、サイトを訪れるユーザーのことをデータを通して理解することが不可欠だと考えていました。
2022年の10月に事業を立ち上げ、最初はnote proでWebサイトを立ち上げました。低価格と信頼性、シンプルなデザインと使いやすさが魅力でしたが、拡張性やデータ分析について一部制約が存在したので、いずれは新しいサイトを作る必要があるだろうと思っていました。そのためには、サイトリニューアルユーザーを知るための分析環境の構築、その両方を叶えることが可能な依頼先を見つけなければいけませんでした。
 

JADEは”ユーザー行動を把握しやすいサイト”を発注できる数少ない会社

 

数多のサイト制作会社様と比較して、JADEを選んで頂いた決め手はなんだったのでしょうか?

古田 JADEを選んだ決め手は、他社の提案と比べてサイトのデザインや機能に焦点を当てたものではなく、"GA4でのデータ計測・分析を前提にした"サイト制作案であったことが、私たちの要望に完全にマッチしたと感じました。定期的にコンテンツを発信するサイトでは、カテゴリー分けやサイトの階層構造を検討する際に、初めからGA4で計測しやすい形にするべきだと思っていたので、これらを同時に進められたのはとても良かったです。
長山 サイト制作はサイト制作会社、解析は解析の専門家、というように専門性が分かれていて、一緒に依頼することが難しい場合がありますよね。
郡山 そうですね、解析を専門にしている私からすると、今回はサイト作成の段階から解析を前提に進められたおかげで、計測するデータの設計もしやすく、プロジェクト全体をスムーズに進行することができたと感じています。
古田 あとは、JADEが唯一「リニューアルをしない」という選択肢を提示してきたことには驚きました。 JADEには、サイトリニューアルに関する要件の事前調査を依頼し、現在のサイトの課題の洗い出しや今後の運用を見据えた最適なリニューアル方針を提案してもらいました。 「JFCがやりたいこと」を実現するための提案として、様々なパターンとそのメリット・デメリットを提示していただいたことで、納得のいく形で発注を決定しました。
 

GA4未経験のメンバーでも、ユーザーの分析が可能に。コンテンツ制作のレベル向上に期待が膨らみました。

 

「ユーザーを知るための分析環境の構築」という今回の取り組みのゴールに対して、JADEはどのようなアプローチを行ったのでしょうか?

郡山 7か月間のお取り組みで、サイトリニューアルに向けた調査、サイト制作と、GA4の計測設計と実装支援を行いました。 特に重点的に行ったのが、コンテンツを評価・分析しやすくするためのGA4の計測設計です。改善点を発見しやすいカスタムイベントの作成を行いました。
JFC様の以前のウェブサイトでは、ページ閲覧(PV)のみを計測しており、どのコンテンツがどこまで読まれているかを詳細に把握することができませんでした。このデータが明確になれば、どのように記事を書けば読了率を向上させるかについての議論が可能となり、今後のコンテンツ作成に非常に役立つと考えました。
そこで今回は、Googleタグマネージャーでスクロール進度30%、50%、80%を計測するカスタムイベントを作成・実装しました。カスタムイベントだけでは集計に手間がかかることが多いため、カスタム指標、計算指標という設定も利用しました。 これにより、「ページ閲覧数に対して30%,50%,80%のスクロールイベントが何回発生したのか」GA4側で計算する【スクロール率】がわかるようになりました。
さらに、記事のカテゴリごとにどこまで読了したかを把握するため、スクロール率を活用することにしました。これによってよく読まれてるカテゴリとそうでないカテゴリが明確になりました。
このようなコンテンツ評価に有用なデータは、GA4を知らない人でも活用いただけるように、Looker Studioを使用したダッシュボードにまとめ、納品いたしました。 解析やGA4の詳しい知識がなくても、ダッシュボードを見れば、どんなレイヤーの方でも同じ評価基準で会話をすることができるという状態を目指しました。
古田 依頼する前から、GA4でのコンテンツの評価・振り返りをやるべきだとは思ってはいたんですが、データ解析に明るいメンバーもいないし、人手不足の状態で、取り組めていませんでした。そんななか、このわかりやすいダッシュボードが非常に役立ちました。
コンテンツの読了率データを初めて見たとき、その結果には驚かされました。ファクトチェックの記事が十分に読まれていないのではとの懸念がありましたが、実際には多くの人が最後までしっかりと読んでいたんですよね。この事実はメンバー全員が驚きましたし、同時にコンテンツ作成への大きな自信にもつながりました。さらに、カテゴリーごとの読了率を見ることで、ユーザーがどのカテゴリーの情報を探しているのかというニーズが明確になりました。これは私たちのみならず、ファクトチェックに関わる業界全体に役立つ発見といえるかもしれません。
郡山 今回のJADEのサポートでは、GA4の導入、Looker Studioダッシュボードの設定、Google タグ マネージャーの設定、および設定資料やマニュアルの提供をさせていただきました。 設定をご依頼いただいたものについて、どんな設定になっているのか、触ったらおかしなことになってしまうかもなどと、触りなれない方は不安に感じてしまいますよね。私たちは納品したものを安心して存分に活用していただきたいので、事後のサポートも含めて提供しており、今回は、職員のみなさんに向けてGA4勉強会を開催しました。 新しい分析を始める際に、スムーズに進められ、また、新たなメンバーが加わったときにも教えやすい環境の整備にも携われたと思っています。
古田 その勉強会の内容は動画にもなっており、今後はマニュアルとして活用する予定です。
 

JADEのスムーズなプロジェクト進行に感銘

 

他にJADEとの取り組みで印象に残っていることはありますか?

古田 JADEの仕事の進め方に感銘を受けました。特に、SlackとNotionでのやり取りが中心で、メールのやり取りがないことが私たちにとって非常に楽でした。具体的な判断やアクションを求められた場合、チャットツールだとすぐに対応できるのが良かったです。もし、これが「お世話になっております」から始まるメールだったら、スピード感は大幅に落ちてしまうでしょうね。JFCの職員からも「仕事が非常に丁寧で、会議も1つ1つわかりやすくて、すごくよかった」という声が上がっていました。
また、データ分析のリテラシーが不十分な私たちには、GA4は非常に難解に見えましたが、郡山さんの親切な人柄と自走まで考慮したケアのおかげで、克服可能な壁に見えてきました。JADEのやさしさを感じましたね。
郡山 ありがとうございます! GA4はとっつきづらい方も多いと思いますので、会議や初めての方がみる資料では、専門用語をなるべく控え、誰でも理解しやすいように努めています。また、会議等のコミュニケーションの回数も定めておらず、クライアント様ごとに最適な頻度で行っています。
長山 僕はコミュニケーションを行う際、その趣旨が明確になるように注意していますね。それが単なる連絡事項なのか、何か意思決定が必要なのかを明確にするようにしています。
 

より良い情報発信を続けていくためには、ウェブサイトのデータ分析は必須

 

今回の取り組みによりユーザーデータの活用が可能となったサイトの今後の展望について教えてください。

古田 ファクトチェックには「検知」、「検証」、「配信」の三つのプロセスがあり、ウェブサイトのデータ活用はこの「配信」プロセスに非常に重要です。つまり、必要としている人にしっかり届けられないとファクトチェックはあまり意味がないんです。今後は、読者の反応やアクセスのデータをもとに、配信方法やコンテンツをより良く改善することができると思っています。
ウェブサイトを着実に成長させるためには、ユーザーのデータをしっかりと分析し、それに基づいたコンテンツを発信することが重要だと、JADEとの取り組みを通じて改めて感じました。
 
 

最後に、JADEのコンサルティングサービスはどのような企業におすすめだと思いますか?

古田 自分たちのコンテンツの効果測定をし、そのデータを元に成長したい企業ですね。好きなように発信をするだけではなく、ユーザーにどう受け止められているかにこだわりたい企業、プロダクトアウトよりもマーケットインにこだわりたい企業に向いていると思います。
 

担当メンバー紹介

郡山 亮の写真
郡山 亮の写真
郡山 亮 KORIYAMA, Ryo Consultant
担当コンサルタントからのコメント JADEのGA4活用支援は、お客様と共に解像度を高めるところから着手します。自社のサービスをどのように評価すれば改善に繋げられるのか。ユーザーにどのように利用してもらえる状況が理想なのかヒアリングし、GA4の設定やダッシュボードを最適化していきます。それらを自社で活用できる「体制づくり」までサポートし続けてまいります。
 
佐藤 雅之 SATO, Masayuki
Senior Designer
 
長山 一石 NAGAYAMA, Kazushi
Founder / 創業者 Director / 取締役 CSO / 最高戦略責任者